【寝る前に笑える短い面白い話、ネタを集めました#6】藺草とりんごとその他5選

藺草 小話
オジサーン
オジサーン

はるはあけぼの。私はオジサーン。今回も一般人の創作したすべらない話を5つ、まとめてお送りします!

オバサーン
オバサーン

オジサーン。私も創作したわ

 

藺草

 

藺草

 

四畳半のボロアパートに友人と2人。
青汁をこぼしてガスコンロが使えなくなった私たちは、遠く離れた家電屋に買い出しに行くほど元気も財力もなく、途方に暮れていた。
タイムマシンをつくろう、と提案したのは友人の方だった。青汁をこぼさない方の世界をつくればいい。
そこからの私たちは真剣だった。
どれくらい本気だったかというと、バック・トゥ・ザ・フューチャーを見返したり、近所の物知りそうなお婆さんにきいたりしたほどである。

「で、その後どうなったの?つくれたわけ?」

私の昔話に身を乗り出す彼に、私は口を一旦閉じる。
成功したタイムトラベルほど語るに値しないのだ。

りんご

りんご

 

ある日の暮方のことでした。1人の若者が、自転車置き場の屋根の下で雨止みを待っていました。私は、その若者にしりとりを仕掛けました。
「へい、そこの若者。しりとりをしようぜ。りんご」
「ゴリラ」
「ラッパ」
「パン。負けました。では私はこれで失礼します」
そう言って若者は逃げるように、まだ雨も止んでいないのに走り去っていきました。まるで手応えがありません。
そう、最近の若者はまるで手応えがないのです。ストリートしりとりを仕掛けても、相手はすぐに「ん」を言って負けて、そして去っていってしまうのです。
私はしりとりが仕事なので本気でやっています。本気でしりとりをとっぷりでやっているのです。今日も練習しています。

りんご、ゴリラ、ラッパ、パン、積み木、キツツキ、着物、へ〜へいぃ〜!

 

クリスマス

クリスマスボーイ

 

あんまりクリスマスイブに夜空を見上げないでほしいんです。

ええ、ここだけの話。

だって恥ずかしいでしょう、空を飛んでいるところを赤の他人に見られるなんて。

「貴重なお話をありがとうございます。大変勉強になりました。今までのお話を伺ってぜひ私も御クローズで働いてみたいと考えたのですが、持っておいた方が良い資格はありますでしょうか?」

資格?ITパスポートと簿記は持っていて損はないでしょうね。最近はこの業界もIT化が進んできてね、基本的なことを知っていないと、営業マンの口車に乗せられていらないITツールを導入してしまうから。

名刺管理ツール、でしたっけ。よくよく考えたら子どもが名刺なんて持ってるわけないんです。

「最近活躍しているサンタに共通していることは何ですか?」

そうですね、みんな日頃からプレゼントして予行練習してますね。

 

ノスタルジー

 

ノスタルジック

 

昔々、友人に昼飯奢ってやるからコンビニ一緒に行ってほしいと言われてついて行ったら、わさび太郎しか買ってくれないことがありました。

わさび太郎はおいしくてコスパも最強ですが、昼食の肩書きを背負えるのかは怪しいところです。

彼は冷蔵庫にCDをいれます。

伊坂幸太郎のゴールデンスランバーの登場人物をリスペクトしているそうなのですが、よくわかりません。

CDは冷えているのに限る、と言っています。

こういうことを書いてたら急に懐かしくなって、彼の家に立ち寄りました。するとドアに「しばらく旅に出る。大きくなって帰ってくる」と貼り紙がありました。

物理的なのか、精神的になのか気になるところです。

巨人になって帰ってくる彼を想像して、本当にそうなら肩にでものせてもらおうと思いました。

かみしばい

 

かみしばい

 

こんな紙芝居を読む人がいたらいやですよね。

「それでは紙芝居、浦島太郎のはじまりはじまり。むかしむかし、あるつころ、あるところにおじいしゃん、あ、おじいさんとおばあしゃん、いや、おばあさんがいました。」

どんだけ噛むんだよ。

これでは紙芝居ではなく噛み芝居です。

しかも内容もむちゃくちゃです。

完全に桃太郎の物語の入り方です。

でも考えてみると、浦島太郎の童話の入り方って全く覚えていません。

不思議だなぁ紙芝居。

 

藤原千裕

幼い頃に経験した両親の喧嘩から現実逃避のため小説に没頭する。その後祖父母宅での居候を通じて、諦観と創作意欲が醸成され、以降小説を執筆。
好きな作家はさくらももこ、伊坂幸太郎、一條次郎。
趣味はサッカー(ヘディング以外)、M-1に出ること、小説を書くこと。

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